しっかり日光に当て、水やりもして、時々は肥料も与えているのに思ったように育ってくれない。
理由が分からないまま、だんだん弱ってしまって「このまま枯れてしまのかな?」という経験がありませんか?
もしかして、その原因は土壌の水素イオン指数・ PH(ペーハー)が偏っているのかもしれません。
問題がなく元気に育っていれば、全く気にする必要はありませんが、知っていればより丈夫に育てることができますよ。
水素イオン指数(Ph)のおさらい
水素イオン指数・PH(ペーハー)とは酸性やアルカリ性を示す指標で、ほとんどの方はたぶん小中学生の時、理科や科学で習ってます。
が、数十年経ち忘れてしまっている方も多いと思いますのでおさらいを。
水素イオン指数(Ph)は、0~14までの値があり、ちょうど真ん中がPh7の中性です。
7より値が小さくなる(6~0)と弱酸性、酸性、強酸性と酸性が強くなります。逆に値が大きくなると(8~14)弱アルカリ性、アルカリ性、強アルカリ性と強くなります。
身近なものでいうと、食酢が4ぐらいの酸性、水道水が5.8~8.5の中性、石鹸が9~11ぐらいのアルカリ性です。
ちなみに人間の血液のPh正常範囲は7.35~7.45といわれています。この正常範囲を逸脱すると病気や老化などが進行しやすいそうですよ。
植物の土壌Phは、弱酸性で
観葉植物の土壌は、おおよそPh5~6.8ぐらい(弱酸性)が良いとされています。
野菜や草花などの多くも、大まかですがPH5.5~6.5(弱酸性)が良いと言われています。
Phが低くなり、酸性に傾くと土壌の栄養分、カリウムやリンなど各種の微量要素が吸収されにくくなり成長に影響します。
逆にPhが高くなり、アルカリ性に傾きすぎても、鉄やマグネシウムなどのミネラル要素の吸収が妨げられ、根が生育障害を起こしやすくなり成長が悪くなってしまいます。
日本の自然土壌のPh は、ほとんどが酸性
海外に行くと土壌の性質や気候によりアルカリ性のところもありますが、日本の自然土壌のほとんどは、Ph4.5~5.6程度の酸性です。
理由は、日本が多雨という気候的な条件で、アメリカやヨーロッパと比べ日本は二酸化炭素を含んだ雨が2~3倍降り、二酸化炭素が溶け込んでいます。
そのため土壌の栄養素が流れ出してしまいます。植物自体も水素イオンを放出していますので、土壌はより酸性に傾いていきます。
また、関東ロームにも代表されるような、火山灰層が風化して赤土となった土壌が多くあることも酸性土壌が多い原因とされています。
観葉植物などに野山にある自然の土をそのまま使ったりすると、Phが低くいので植物本来の成長が出来づらいことがわかりますね。
露地植えの野菜や草花などもしっかり土づくりをして元気に育ててあげましょう。
土壌の酸度を調べるには、「土壌酸度計」
そもそも、いま土壌がどのくらい酸性?アルカリ性?どちらに傾いているのか、分からなけれどうしようもありませんね。
そこで、必要になってくるのが「土壌酸度計」というものです。この土壌酸度計、高いものから安いものまでピンキリです。
アナログの物を購入しようかとも思いましたが、購入者のレビューを見ると「動かない」「いつまでたっても反応しない」等を見ましたのでやめました。
2000円程度とお手頃で0.5単位で測れる「デジタル」のものを購入してみました。
箱・説明書はすべて英語です。。。何ができるのかというと、
- Ph測定
- 土壌温度
- 土壌水分
- 日照度
日照度とか必要かどうかわかりませんが、機能はシンプルで一応デジタルです。
シンプルでごちゃごちゃしておらず、きちんと0.5単位で測れるところはいいかなぁと思います。
で、さっそく本当に正確に動くのか?(反応するのか?)電池を入れて、さっそくためしてみます。
画面が明るく、文字が大きいのでお年寄りでも見やすいです。ただし英語ですが。
右から土壌の温度・湿度・Ph、一応ちゃんと測れているようです。
Phが違うと植物の成長も違うのか?
おなじ環境で育った植物でも、元気に育っているものと元気のない植物は土壌のPhに違いがあるのでしょうか?実際に測ってみると、少し違いがありました。
観葉植物の適正な土壌Phは、5~6.8ぐらいです。
同じ環境で育った、この植物のPhを測ってみると…..
元気のある方は、Ph6と弱酸性で安定しています。
右の少し元気のない方は、Phが7~7.5のあたりをメーターがウロウロしていました。少し高めの表示が出ていましたので、気持ち弱酸性に傾ける「酸度調整」をしてやるといいのかもしれません。
今回使用した土壌酸度計はコレ!
4 in one Soil Survey Instrument
2,000円程度と手頃な価格で、土壌酸度(Ph)・地温・土壌水分・照度が計測できます。説明書が英語なのですが、シンプルなので操作は直感的にわかりますし、購入サイトの説明だけでも十分にわかると思います。
5分で自動的に電源が切れる親切設計、Ph以外にも土壌水分量が分かるので水やりのタイミングもすぐにわかり、根腐れや枯れを防げます。
植物を育てる機会が多い方は、重宝すると思いますよ。
偏った土壌のPhの調整「酸度調整」とは
植物は、土の入れ替えやアルカリ性肥料を与えない限り、土は酸性に傾いていきます。逆に石灰などのアルカリ性肥料のやりすぎ、水などが原因でアルカリ性に傾いてしまうこともあります。
そのような時には、以下のような「土壌改良資材」を土と混ぜて使用します。
アルカリ土壌を中和(pHを下げる)
ピートモス | 原材料はシダやコケなど水辺の植物が堆積されてできた資材。土壌を柔らかくし、保水力や土壌の養分濃度を向上させます。 酸性度調節されているもの(Ph6ぐらい)とされていないもの(Ph3.8~4.8)が市販されています。初心者でも比較的簡単に酸度調整が可能です。 |
硫酸アンモニア(りゅうさんあんもにあ) | 窒素肥料で即効性のある土壌改良剤です。野菜などに追肥としてよく使われています。過剰にやると根の傷みや生育悪化等を招くこともあります。石灰資材や草木灰と混ざるとガスが発生して植物自体に影響します。用量用法を守れば、初心者でも比較的簡単に酸度調整が可能です。 |
過リン酸石灰(かりんさんせっかい) | 速効性のある土壌改良剤で化学肥料の一種、水溶性で根が吸収しやすい状態になります。野菜などに原肥としてよく使われています。石灰資材や草木灰と混ざるとガスが発生して植物自体に影響します。用量用法を守れば、初心者でも比較的簡単に酸度調整が可能です。 |
硫黄(いおう) | ブルーベリー等でよく使われている土壌改良剤。即効性はない。用量用法を守れば、初心者でも比較的簡単に酸度調整が可能です。 |
酸性土壌を中和(pHを上げる)
生石灰(せいせっかい) | 石灰岩を焼いて粉末にしたものアルカリ分80~100%で強力 。水に触れると発熱するので危険。(調整が難しい) |
消石灰(しょうせっかい) | 生石灰を水で反応させたものでアルカリ分60%以上で強力。農業向きアルカリ性が強い。(調整が難しい) |
苦土石灰(くどせっかい) | ドロマイト(苦灰石)から作られておりアルカリ分53%以上で弱め。 ガーデニング向き、マグネシウムなども補給できる。用量を守れば初心者でも比較的簡単。 |
有機石灰(ゆうきせっかい) | カキの殻や卵殻など自然のものアルカリ分40~45%と弱い。即効性はないが長期間持続、カルシウムなども補給できる。初心者でも簡単。 |
初心者におすすめの「酸度調整」のための土壌改良剤
酸度調整が、はじめての人でも扱いやすいものを紹介します。
・Phを下げる(酸性に)
ピートモス調整済み
過リン酸石灰
・Phを上げる(アルカリ性に)
苦土石灰
有機石灰
使用方法や用量などは、袋などに書いていますので確認してください。
目分量で適当に混ぜたり、用量を守らずたくさん混ぜてしまうと、ねらったPhより傾きすぎたり、足りなかったりします。使用量は守るようにしましょう。
時々は、土壌酸度計でPhを確認をしながら、肥料やりのタイミングも考えてやると、よりしっかり成長するでしょう。
兼業農家の跡取り息子。植物が好き、花が好き、ガンダムも好き。
農業繁忙期には更新がちょくちょく遅れるよ。