ナヨクサフジ(弱草藤)は飼料用作物、牧草として、明治時代に人間の都合でヨーロッパより 持ち込まれました。
現在は全国に野生で分布しています。私の幼いころにはこの草はなかったように思います。蔓性で絡んだり這いついたりしながら1.5~2mに伸びます。 基本放置で育つたくましい雑草です。
いつの間に拡散されてきたのでしょうね。このナヨクサフジは強いアレロパシー(他感作用)があり、雑草防止そして緑肥作物としても用いられます。
緑肥として土壌の栄養源に
名前の由来ですが、茎が細く柔らかく 在来の草藤よりも『なよなよとしている』ということからこの名前が付けられてのですがなよなよしているようにも思えません。生命力があり勢力旺盛で地面いっぱいに広がります。
冒頭にも強いアレロパシー(他感作用)があるといいましたが、地下茎からシアナミドという物質を出し、他の植物の成長を抑制しているといわれています。
休耕地などでは、その強いアレロパシーを利用して雑草の繁殖を抑えるために使っています。
施肥削減にも効果的で雑草が枯れる頃、ナヨクサフジを耕運機のロータリーなどで土壌にすき込みます。
土に混ざると10日くらいでシアナミドは完全に分解され、アンモニア性チッソに変化します。そうすると毒性が無くなって肥料成として有効になるようで、植物を植えるのであれば10日以降を目安に植えると良いようです。
窒素やカルシウムなどの肥料成分が豊富で,緑肥にすると土壌に栄養素を供給することができます。
その性質を生かして落葉する果樹の下に植えたり レンゲにかわって休耕田に植えたりと普及しはじめています。
シアナミド
ちなみにシアナミド(シアナマイド)って、アルコール中毒及び過飲酒者に対する抗酒療法の内服薬じゃ?
化学式では「CH2N2」。農家では、石灰窒素といわれています。ちなみにこの石灰窒素を散布した後にお酒を飲むと急性アルコール中毒を起こす可能性があるそうで、皮膚に付着すると化学熱傷してヒリヒリします。
危険性と毒性があるので、散布の時には防護マスク、メガネを着用し、肌を露出しないようにしましょう。
「ベッチ」の種類
「~ ベッチ」と名前の付く草藤、調べてみるとヘアリーベッチ(ナヨクサフジ)とウインターベッチ(越冬性あり、積雪地帯での利用)、スムーズベッチ(ビロードクサフジ?)、クラウンベッチ(タマザキフジ) 、コモンベッチ(低温で、短期間発芽)などがありました。
しかし、ビロードクサフジを (ヘアリーベッチ)としていたり、ナヨクサフジを(スムーズベッチ)としていたり、タマザキクサフジを(クラウンベッチ)と記載していたり様々です。結局、どれが本当が最後までわかりませんでした。(笑)
ちなみにレンゲ草も Chinese milk vetch(ベッチ) という言い方もあります。
ウインターベッチは、ヘアリーベッチに比べ越冬性に優れているので、積雪地帯での利用に優れています。春は2月中旬~3月中旬に秋は9月中頃~10月中頃にかけて播種(種まき)をします。生育期間が長く晩成で、有機物量が豊富に含まれますです。ヘアリーベッチ同様アレロパシー効果が高く、雑草抑制効果が期待できます。
商品名としては、ウインターベッチ(タキイ種苗)、寒太郎(サバン)藤えもん(雪印種苗)、しげまるくん(カネコ種苗)などの名前で販売しています。
さいごに
環境省の適切な要管理の外来種(産業管理外来種)として生態系被害防止外来種リストに掲載されていますが、そもそも明治時代とはいえ政府が持ち込んだものです。
人間の都合で持ち込まれ、その後放置して雑草として生えているところを外来種としてリストに掲載、管理しきれず悪者になってしまっています。
ナヨクサフジはマメ科の植物ですが、無謀にも食べれるのか試した方がいるみたいですね。海外では中毒症状を起こしたケースもあるそうですが。。。
兼業農家の跡取り息子。植物が好き、花が好き、ガンダムも好き。
農業繁忙期には更新がちょくちょく遅れるよ。