自宅で夏に向けて、野菜を作ってみたいと思っている人って結構多いですね。
夏野菜とは、春頃に植え付けて夏期頃に収穫する野菜のことで、トマトやなす、きゅうり、トウモロコシなど色が鮮やかなものが多いのが特徴です。
病気や害虫にも強く丈夫でなかなか枯れず、比較的管理が簡単で初心者向きなのでしっかり収穫もできます!
ちなみに夏野菜は、水分やカリウムを多く含んでいますので夏バテ予防にも最適です。
夏の太陽の光を浴びて育ち、β‐カロテン、ポリフェノール、ビタミンC、ビタミンEなどなど、夏野菜は栄養がとても豊富なのも特徴です。
今年の夏は、自宅のプランターで育てた栄養豊富な夏野菜を味わってみてはいかがでしょうか?
初心者でも失敗しない夏野菜9選、プランターで苗から育てる
1.【トマト(ミニトマト)】リコピンやβ-カロテンが豊富
日照と水やりさえ行えば、少々の事では枯れません。
トマトの赤い色素には抗酸化作用のある「リコピン」が含まれ、ガンや生活習慣病予防が期待されています。他にもビタミンCやカロテンなども豊富に含まれています。
熟すとグルタミン酸(うまみの素)が多くなるのでしっかり熟してから摘果しましょう。(参照:ミニトマトのプランター栽培)
- 様々な料理に使えますし加工もできます。もちろんサラダなど生でもOK。
- オリーブオイルと非常に相性がよい夏野菜で、同時に摂取すると4倍近くの「リコピン」が摂取できます。
- たくさん収穫できたら、そのまま冷凍保存したり皮を湯むきした後、トマトソースにして保存できます。
- 青い(緑)部分が多いものは、常温保存で数日間、熟させてから使用してください。(熟しても赤くならない品種以外)
- 真夏の高温多湿が苦手!生育に適した温度は25℃前後で夜間は15℃を下回らない環境が最適です。
- 定植後、苗が安定するよう仮支柱をして茎を安定させましょう。その後、本支柱を立てます。
- 豪雨で果実が傷つくことがありますので、実が付いたら軒下など雨風が当たりにくい場所で育てるか、カバーなどで養生そして育ててください。
- 日照不足や水や肥料のやりすぎにより苦みが出ることがあります。
- 日照不足や土壌養分が不足していると果実が空洞になったり、葉や茎に異常が発生することがあります。食用には問題ありません。
- ナス科植物(じゃがいもやトマト、ピーマンなど)は連作障害があります。プランターで育てる場合、前回使用した土は使用しないように。
トマトの代表的な品種
桃太郎、フルーツトマト、黄寿、ファースト、カゴメこくみトマト、りんか、ミディトマト、アメーラ、フルティカ など
ミニトマトの代表的な品種
トマトベリー、アイコ、千果、フルティカ、サントリールビーノ、フルーツミニトマト、ルビンズゴールド、フラガール など
2.【なす】抗酸化作用が豊富!
比較的高温多湿を好むので夏に強く丈夫です。
種類も様々な品種があり、料理の用途によって使い分けがなされており、世界中で栽培されています。体温を下げる効果があるといわれています。
(参照:なす苗のプランターでの育て方)
- なすの紫色の色素には、抗酸化作用のある「ナスニン」や「クロロゲン酸」といったポリフェノールが含まれ、ガンや高血圧の予防コレステロールを下げる働きがあるといわれています。
- 他にも血管の柔軟性を保ち出血を予防する効果がある「ルチン」「エルセチン」なども含まれています。
- アクが強い場合は切ってから油通しするか、数分水にさらしてください。
- 苗を植える時は、十分に気温が上がってから行いましょう。
- 植え付け後、苗がグラつかないよう仮支柱をして茎を安定させましょう。その後、本支柱を立てます。
- ナス科植物(じゃがいもやトマト、ピーマンなど)は連作障害があります。プランターで育てる場合、前回使用した土は使用しないように。
- 収穫後、冷蔵庫などで5℃以下で数日間保存すると低温障害をおこし褐色になります。8℃以上で保存し、みずみずしさを楽しむためにもなるべく早めに召し上がってください。
なすの代表的な品種
大長なす、赤なす、米なす、青なす、白なす、水ナス、絹かわナス、小なすなど
3.【ピーマン】カロテン、ビタミンCがたっぷり!
カロテン、ビタミンCを多く含む野菜です。日照と水はけに注意すれば、作りやすい野菜です。
収穫量が多く高温乾燥に強い品種もあります。パプリカやシシトウやトウガラシなどと栽培方法は同じです。
- 子供の嫌いな野菜の代表格ですが、香りの成分「ピラジン」には血流を促進生活習慣病予防の効果が期待されています。
- 加熱してもピーマンのビタミンCは失われず、血中コレステロールを下げる働きもあります。
- ビタミンAに変換されるβカロテンが、たくさん含まれています。
- 4~5月頃に定植する(苗を植える)のであれば問題ありませんが、寒さに弱く防寒対策が必要です。
- 植え付け後、支柱をして茎を安定させましょう。その後、本支柱を立てます。
- 主枝から伸びた花のついたわき芽は強く伸びますので、その下のわき芽は摘み取ります。
- アブラムシとカメムシがきたら、木酢液など自然成分由来のものを撒布したりネットをかけて対策をしましょう。
- 定植後すぐに、高温多湿になると病気(立枯病)の恐れがあるので、水はけや風通しの良いところで育てます。
- こまめに水やりと追肥、土寄せなどをしましょう。
ピーマンの代表的な品種
パプリカ種(大果種):ワンダーベル、フルーピーレッド、イエローホルン、フルーピーイエロー など
中果種:エース、翠玉二号、京鈴、京みどり、京ゆたか7 など
小果種:ししとう、甘とう美人、伏見甘長、万願寺トウガラシ など
4.【オクラ】ネバネバが腸の働きを整える!
暑さに強く日差しを好み半日陰でも十分育ちます。
病害虫にも比較的丈夫な野菜ですが、寒さに弱く10℃以下になると育成不良を起こすことがあります。
- ネバネバの成分はガラクタンやアラバン、ペクチンなどの食物繊維。便秘や下痢など整腸作用があります。
- オクラに含まれるβカロテンは、レタスの3倍以上も含まれいます。吸収されるとビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。
- 妊娠中に胎児の成長やDNAの合成に必要にとされる葉酸も100gあたり110mgも含んでいます。
- 塩で表面をこすり、オクラを沸騰したお湯に入れて1〜2分茹で、氷水でしっかりと冷やすと色鮮やかになり、歯ごたえが引き立ちます。
- 草丈が1mを超えるので、狭い場所では構築物や他の植物などの邪魔にならないように。
- 肥料は植え付けの時と、実がついた時におこないます。肥料が多すぎると実つきは悪くなります。
- 花が咲いてから1週間程度で、収穫します。7~10cmが食べごろで、大きくなると筋やかたくて食べられなくなります。
- 葉が密集してきたら、さやのつけ根にある葉とすぐ下の葉だけを残し、下の葉を切る「摘葉(てきよう)」を行います。風通しがよくなり、品質低下や病害虫の発生が抑えられ次々とよいさやが実ります。
オクラの代表的な品種
マルオクラ、八丈オクラ、ミニオクラ、赤オクラ など
5.【キュウリ】新鮮でみずみずしくお馴染みの食材
もぎたてが一番おいしく、96%が水分なので時間がたつほど、味や食感が落ちます。漬物やサラダ、暑い夏日には冷やしてそのまま一本まるごとかじりもおすすめです。
皮についている白い粉(ブルーム)は、成長過程で自然に分泌されたものです。
- キュウリは、カリウム、ビタミンC、ビタミンKを含んでおり、血圧を下げる働きがあります。
- もろ味噌をつけて食べる「もろきゅう」は、若く小さいうちに収穫したものになります。
- 花が咲くと1週間ぐらいで収穫できができます。
- 植えつけ2週間目から2週間に1回、追肥を行います。
- 植え付け後、支柱をして茎を安定させましょう。その後、本支柱を立てます。日照と水はけをよくするとキレイな実が育ちます。
- 生育初期に実を大きくさせると、株を疲れさせるので一番果が大きさ10cm程度になったら取ってください。
- 収穫後は、冷蔵庫で5℃以下で長く保存すると凹みや実汁がでて腐敗しやすくなるので早めに食べてください。
キュウリの代表的な品種
白イボキュウリ、フリーダム、四川キュウリ、四葉キュウリ、馬毛キュウリ、加賀太キュウリ、白キュウリ、半白キュウリ、姫キュウリ など
6.【ゴーヤ】ビタミンCや食物繊維などが豊富!
「にがうり」や「ツルレイシ」とも呼ばれ、暑さと乾燥に強く、気温が上がると一気に旺盛な成長力で蔓が伸びていきます。比較的病害虫も少なく、肥料がなくても土が乾いたら水をあげるだけでも成長します。
モモルデシンという苦み成分と青い香りが特徴で、好き嫌いが分かれますが、栄養価の高い夏野菜です。
- 他の野菜より断然手がかからないので、育てるのが楽です。
- モモルデシンは、サポニンの一種で抗酸化作用があり、コレステロールや老廃物を排出する作用が期待されています。
- モモルデシンは、胃液の分泌を促し食欲を増進させてくれる効果があり、ビタミンCの含有率はトマトの5倍と高く、夏バテ防止にピッタリの野菜。
- つるが長く伸びるので庭先やベランダで日よけ(グリーンカーテン)代わりに育てる人もふえています。
- 葉が多くなったりツルが伸びすぎたらカットしましょう。
- 植え付け後、早めに支柱やネットをして蔓を絡ませましょう。
- 完熟すると黄色くなると食用には向きませんので、その前に収穫しましょう。
- 上に伸びる主枝を摘芯して脇芽を横に伸ばすと管理が楽になります。
- 収穫中も追肥を行うと長く収穫が楽しめます。
ゴーヤの代表的な品種
あばしゴーヤ、太れいし、長れいし、白長れいし、中長ニガ瓜、願寿ゴーヤ、節成ゴーヤ など
7.【エダマメ】ビールのお供に、夏バテ予防に
収穫後すぐに塩茹でして保存おくと味が損なわれれません。
サラダやごはん、お菓子など様々な料理に使え新陳代謝も活発にするので、夏バテも防ぐといわれています。
- 大豆と野菜の両方の栄養的によい特徴を持つ野菜で、塩茹でするとおつまみに最高の一品となります。
- 良質のたんぱく質と豊富なビタミン類、カリウム、食物繊維、鉄分などを含みます。
- エダマメに含まれるメチオニンは、アルコールを分解し肝機能を高める効果があります。
- 枝豆の品種、だだちゃ豆にはシジミの数倍のオルニチンが含まれています。オルニチンは成長ホルモンの分泌促進や疲労回復機能の効果かあるアミノ酸の一種です。
- マメ科植物の根には、「根粒菌(こんりゅうきん)」という菌が共生しています。肥料をたくさんまくと、実がつきにくくなります。
- 植え付け後、早めに支柱やネットをして蔓を絡ませましょう。
- 収穫適期は開花から30日~40日前後、さやを指で押すと中の豆がはじけるぐらいが収穫のタイミングです。大きくなったさやから切り取ってください。
- 収穫後すぐ新鮮なうちに茹でましょう。(茹で時間は5分以内)長期間保存する場合も、茹でたものを冷凍保管するとビタミンCが逃げません。
エダマメの代表的な品種
白毛系、黒豆、だだちゃ豆、地方独自の在来品種もあり
8.【ズッキーニ】実はかぼちゃの仲間
ほのかに甘くクセのない歯ごたえが人気の野菜です。使い勝手か良く色々な料理に使えます。低温に強く、栽培しやすい
キュウリのように見えますが、カボチャの仲間です。緑の緑果種と黄色の黄果種、長細形と丸型があります。
- 低カロリーでオリーブオイルとの相性がよく、炒めものやスープ、煮ものなどに最適です。
- カリウムやビタミンCを多く含んでおり、高血圧や風邪の予防、疲労回復など効果が期待されます。
- βカロテンやビタミンBも含んでいますので、疲労回復や代謝の促進、アンチエージングなども期待できます。
- 収穫後時間がたつと実がスカスカになることがあるので、なるべく早く食べることをオススメします。
- 風通しのよい日なたで育て、双葉が開いた頃に、生育のよいものを1本残してて後は間引きます。水やりは1週間に1回程度、肥料が多いと実つきが悪くなります。
- 最初のうちは人工授粉を行って、確実に着果させる必要があります。雄花の花粉を雌花の雌しべにたっぷりつけます。
- 根元をマルチングしておくと、泥のはね返りなどが防げます。
- 開花後5日ぐらいで長さ20cm前後の未熟果を収穫してください。
ズッキーニの代表的な品種
ダイナー、グリーントスカ、ブラックトスカ、オーラム、F1丸ズッキーニ、パリーノ など
9.【モロヘイヤ】β-カロテンやカルシウムが豊富
日照と水分さえあれば、ほとんどかがかからない野菜です。
葉には独特のぬめりがあり、機能性が非常に高く若い葉や茎を食用とします。ニオイやクセはあまりなく、栄養成分をたくさん含んでいます。
病害虫にも比較的に強く丈夫な野菜です。
- ビタミン類やカルシウム、鉄分などが豊富で野菜のなかでもトップクラスです。
- 活性酸素の働きを抑えるβカロテンは、ほうれん草の2倍以上の含有量含んでおり、めざしやシラス干しよりも多くのカルシウムを含んでいます。
- 抗酸化作用、抗炎症作用、降圧作用、脂肪分解促進効果などがあるケルセチンを沢山含んでいます。
- 成長がすこし遅いので、苗から育てるのがおすすめです。
- 日当たりと風通しの良い場所を好みます。放っておくと草丈が2m以上成長しますので、50cm程度伸びたところで主枝を摘芯し脇芽を横に成長させ、増えたら収穫を続けて管理しやすいようにします。
- こまめに芽先の柔らかい部分(15cmくらい)を摘み取って収穫します。
- 保存する場合は、キッチンペーパーなどでくるんで冷蔵保存するか、サッと茹でて冷凍保存してください。
- 花が付くと葉茎が固くなるので、摘み取ってください。
- 花が咲きしばらくすると鞘(さや)が出来始めますが、鞘の中にある種は「有毒」なので絶対に食べないようにしてください。葉茎には有毒な成分は含まれていないので安心して食べてください。
夏野菜の苗をを失敗せず上手に育てるポイントは?
家庭のプランターで夏野菜を出来るだけ上手に作る際のポイントは、4つです。
- 野菜にあった土とプランター
- いい苗をえらぶ(実生苗より接木苗の方が丈夫)
- 植付つけの時期(温度管理、4月の寒の戻りに注意)
- 日照や水やり、追肥など日頃の管理
夏野菜にあった土壌
植物を育てる上で土壌は、とても大切です。これで収穫の出来が決まるといっても過言ではありません。
とはいっても野菜によって土の配分や酸度、水はけなど、初心者さんになかなか難しいと思います。
ですので、育てたい野菜専用の土、もしくは野菜全般をカバーしている土を買っておけば、特に問題ありません。
野菜にあったプランター(鉢)
プランター(鉢)は、出来るだけサイズが大きなもの・野菜用の深型プランターなどを選び、根が広くはり太く育つようにすると茎や葉そして実の成長がよくなります。
水はけを良くするためにプランターの底は、鉢底石を敷きましょう。
ちなみにプランターがなくても、販売時の袋や麻袋を利用してもできます。
ただし、根腐れ防止のため底に穴をあける必要があり、水やりの度に泥汁が漏れてきます。
また、安定性がなく倒れやすいので、倒れないよう出来るだけ風が当たらない場所に置くか、固定するための工夫が必要です。
いい苗をえらぶ(実生苗と接木苗)
種から育てたいと思うかもしれませんが、種から苗を育てるまで何か月もかかるものもあります。
また、温度管理や病気などのリスクもあり経験と知識も必要になってきますので、初心者さんは苗から育てることをお勧めします。
苗は大きく2つに分けて実生苗(種から育てた)と接木苗(苗の茎を切り別の苗を繋ぎ合わせた苗)があります。
実生苗
安価ですが病害虫に弱く、生育も接木苗に比べると劣ります。
接木苗
実生苗に比べ少し高価ですがその分、病害虫に強く生育も強いものが多いので、初心者の方には接木苗をお勧めします。
苗を購入の際は、1.葉色が濃いもの、2.葉が大きく多いもの、3.茎が真っすぐ太く安定感のある元気なものを選ぶようにしてください。
植付つけの時期
野菜作りはスタートが肝心なので、植える苗の時期を確認しましょう。
早すぎると病気にかかることがあり、逆に遅すぎると収穫が出来ないこともあります。また、地域によって時期が若干ズレることがあります。
ホームセンターなどで苗が販売され始めるので、それに合わせて定植すれば大丈夫かと思われます。
日照や水やり、追肥など日頃の管理
日照や水が足りない、逆に多すぎる場合
- 味が落ちる(不味い)
- 実の異常形・内部が空洞化・着色不良
- 病害虫が発生しやすくなる
- 葉や茎、根が腐り枯れてしまう
などが起ります。後々、口にするものなので病害虫が出たら、その部分は取り除いたり、木酢液などで害虫を駆除しましょう。
また、追肥を行うことで病気や害虫に負けない強い株に成長し、さらに良い収穫が期待できます。ただし、やり過ぎには注意が必要です。(特に根菜類は)
肥料の取り扱い説明に書かれている用法・用量を守って良い収穫を迎えてください。
兼業農家の跡取り息子。植物が好き、花が好き、ガンダムも好き。
農業繁忙期には更新がちょくちょく遅れるよ。