厄介な雑草、スギナ。
なぜ厄介かというと、地下茎に栄養をためて冬越しをして、春になるとどんどん伸びて爆発的に増えてしまい、たいていの人はその繁殖力に負けてしまいます。
原爆投下後の焼け野原に一番最初に生えてきたとのエピソードもあるくらいですから、生命力はすさまじいものがあります。
人の手による完全除去は困難極まりないことから、「地獄草」という別名も持っており、根を残すとまた生えてきます。
完全駆除を目指すには、発芽を抑え予防しつつ、徐々に生息域を減らしてしていくことが大切です。
完全駆除、根絶やしにしたい雑草「スギナ」の特徴
シダ植物トクサ科の植物のスギナは、日本全国どこにでも分布しています。
多年生で市街地~農村、山間地に広くどこにでも生えてます。
酸性のやせた土壌を好み、アルカリ性の土壌を嫌うようなことを見かけますが、そんな事ありません。
日当たりの良い土地であれば酸性でも中性でもアルカリ性でも、関係なく生茂ります。
一番の成長時期は3月~6月頃で地域によって、若干異なります。
春になると地下から胞子茎を伸ばし胞子を放出します。お馴染みの「つくし(土筆)」ですね。
栄養茎である「スギナ」を除草しても、地下茎を切断しても再生するので人の手による除去は困難。春、根が深いことから「地獄草」の別名を持っています。
スギナの繁殖方法
スギナには胞子・根茎・塊茎という3つの繁殖方法があります。
春先に繁殖するためにまず生殖用の茎「ツクシ」を生やします。
ツクシが胞子を飛ばし終え役目をおえた後で、今度は「スギナ」が出てきます。
地域差はありますが、大体3月から4月半ば頃まではツクシ、4月の半ば頃から6月くらいまではスギナでしょうか。
飛ばされたツクシの胞子ですが土壌に定着すれば、次の年にまた「ツクシ」や「スギナ」が生えてきます。
スギナの冬越し方法
スギナは地下茎や根茎に栄養をため、越冬し生き残ります。
次の春に暖かくなってくると芽をだしますので、完全に駆除するのであれば地下茎や根茎を残さないようにすることが肝心なのですが、地下茎やこぶ状の根茎の完全除去はかなり難しいです。
地下茎や根茎を取り去るのが、一番効果的ですが根が深く地上から40~60cmに生えており根をすべて取り払うのは、相当な重労働。
少しでも根が残ってしまうとまた生えてきてしまいます。
そのままスギナを放っておくとどうなるの?
スギナでいっぱいになり、地中にはさらに深く長い地下茎が張りめぐらされてしまうでしょうね。
そのような状態になってしまうと、素人は当然、プロでも対処するのに数日かかってしまうでしょう。
莫大な金額や労力、そして時間がかかってしまいます。
それだけでなくご近所の敷地に地下茎が侵入して、トラブルにも発展しかねません。
スギナの地下茎は、あなたが思っているよりも成長が早くどんどん伸びていきます。
出来るだけ早めに対処しましょう。
巷にある「スギナ」の駆除方法、それって本当に効くの?
スギナを抜く、地下茎を掘り起こし除去
単純ですが、繁殖の発生源であるスギナの「根茎」「塊茎」といった地下茎を抜いてしまう方法で一番効果があります。
スギナの成長はとても早く、手作業でも毎日抜いていると徐々に成長の勢いが鈍って、最終的には消滅させることもできるようですが………….. そんなこと、毎日できますか?
毎日毎日、地面に向かって草取り。相当な労力と忍耐力、そしてかなりの時間が必要なので現実的に無理ですね。
また、地下茎(根茎や塊茎)を一気に取り払うのであれば、面積にもよりますがパワーショベルなどの重機が必要な場合もあり、金額的に大きな負担となります。
どちらにしても、根っこが途中で切れて土中に残ってしまうと、しばらくするとスギナが茂ってくるでしょう。
スギナに「重曹」はきくのか?
食品や医薬品に使用される重曹は、炭酸水素ナトリウムと言います。
農業でもウドンコ病等の対策に使用されることがあり、自然に優しく殺菌効果のある薬品です。
それゆえに雑草への吸収力も低く、除草剤のような雑草を枯らす力は、ありません。
スギナに「木酢液」は効くのか?
酢で作った除草剤もありますが、除草剤と比べ効果はイマイチのようです。
自然農法などでは、「木酢液」といったものを除草に用いることがあります。
ほぼ原液の濃度でないと効果はないようで、散布しばらくは効果があるようですが雨などで流れてしまうこともあってか、効果は弱いようです。
「木酢液」はコストも安く、無農薬で防虫にも効果があるといったメリットもあるのですが、最大の欠点は原液と同じくらいの濃度でないと効果がでず、撒布するとニオイがキツイ(臭い)というデメリットがあります。
スギナに「塩」は効くのか?
一時的に、しんなりと枯れますが、塩を雑草に撒くのはやめましょう。
土壌に塩分が残り何も育たないような土地になります。塩をまいた土地だけでなく、近隣も非常に迷惑することがあります。
周辺の田畑に塩分が流れ込んだり、コンクリート塀や用水路の鉄筋を腐蝕を誘発したりと何一ついいことはありません。
後々の長い期間、塩分が消えるまで周りに迷惑をかけ続けることになります。
スギナに「お湯」は効くのか?
火傷をしたような状態になるので、熱湯がかかった部分は枯れますが、枯れた部分を養分にしてすぐに横から若い新芽が顔を出してきます。
水道代、ガス代などを考えるとコストが高すぎるわりに、効果なさすぎると言わざるを得ません。
スギナに石灰は効くのか?アルカリ性土壌にすると?
スギナは酸性のやせた土地を好むと良く言われ、とアルカリ性土壌すると草の勢いは弱くなる、生えなくなるということを言われていますが、これは大間違いです。
アルカリ性土壌にしてもスギナは減りません!
前述したとおり、酸性土壌でも中性土壌でもアルカリ性土壌でも、窒素などの養分が少しでも含まれた土壌であればよく成長します。
なので石灰など撒いても、スギナには影響ありません。むしろ他の雑草には影響ありです。
スギナ駆除に除草剤を選択、本当にいいの?
手っ取り早くスギナを枯らしたいのであれば、除草剤をおすすめします。
ですが、噴霧器で希釈した除草剤を撒いていると、近隣への影響も少なからず出てくるかもしれません。
地域によっては、除草剤の使用に関して制限があったりもします。
不要なトラブルを防ぐためにも、地域での取り決めや近隣植物や植栽の状況をしっかり確認しておきましょう。
除草剤のしようについて、良く分からないようでしたら、プロに相談してみることもオススメします。
スギナのおすすめ完全駆除方法
スギナの草刈り作業と除草剤散布
まずは、草刈り作業をして散布する面積を減らしましょう。
ご自分では、難しいようでしたらプロに相談するのもよいでしょう。無料で見積もりだけでも、相談にのってくれますので検討してみてください。
草刈りをすることにより、茎の断面や葉の断面が傷つき露出するため薬剤が浸透しやすくなり、地下茎である「根茎」「塊茎」といった部分に届きやすくなります。
また、薬剤散布する前に草刈りをすると、散布量がかなり抑えられるので経済的です。
薬剤散布後は、6時間以内に雨が降らない時にしましょう。せっかく散布しても雨で流れて効果が減少してしまいます。
防草シートで根絶やしに!光合成をさせない
念入りに除草、抜根したとしても土中で根は切れ「根茎」「塊茎」といった地下茎が、必ず残ってしまいます。
また、ツクシがどこからともなく胞子を飛ばしてしまうと、また発芽しますので、そんな時は防草シートを使います。
防草シートは、雑草に光合成を行わせない環境を作りだす雑草対策グッズで、発芽を抑えるために、シートで地面を覆い光合成をさせないようにします。
密度が高く不織布でできたものは、シートにすき間ができにくく耐久性があり、シートの下でスギナが発芽しても、突き破って生えてくることがありません。
シートは固定するピンで抑えるだけの簡単な方法なので素人の方でも簡単にできます。
スギナに限らず簡単に雑草を抑えたいのであれば、防草シートで予防しましょう。
芝生に生えたスギナを除草剤で駆除したい!
芝生に生えた雑草だけを駆除する便利な芝生用の除草剤があります。
MCPP液剤とザイトロンアミン液剤です。
MCPP液剤は日本芝、西洋芝(ブルーグラス)に、ザイトロンアミン液剤は、日本芝に使用します。
1~2週間で芝生は枯らさず雑草だけを枯らしてしまいます。
個人で芝生に薬剤を撒布する場合は、事前に草刈りが必要だったり、薬剤希釈や噴霧器が必要だったりしますし、顔や目、肌を防護する道具等、相応の準備が必要です。
素人ではよくわからない、薬液散布の影響で変色したりする構築物や枯れたりするような植物があるようでしたら、養生するか一時的に移動するなどしなければいけません。
薬剤散布後に薬剤が雨で流れないようにして、年に数回は散布しないと効果がありません。
もし不安がある、もしくはよく分からないというような場合は、プロの業者に相談してみることをおすすめします。
駆除したい「スギナ」のハーブティーにはデトックス効果が!
ハーブティーでデトックス効果
栄養が豊富で優れた薬草として重宝されてきました。その効果は世間ではあまり知られていないようですね。
万能の薬草として利用され漢方でも「問荊(もんけい)」として知られ、中国では400年前まえから使われていますし、ドイツの文献には、あらゆる病気に効果がある植物といわれも古くから親しまれています。
現在では、ハーブティーとして愛用されています。
利尿効果、デトックス効果、血液の浄化効果、自律神経の整調効果の他にもアンチエイジングやダイエットやむくみの改善、スキンケア、ヘアケアなどあらゆる効果があるようです。
中には歯痛や歯槽膿漏、花粉症やガンの成長抑制、悪細胞破壊する効果があるなどと真偽の程がよく解らない様なことも言われています。
スギナに含まれる栄養素
スギナには「ミネラルの宝庫」と言われるほど、多くの栄養素、ミネラル成分が含まれています。
代表的なものは、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ケイ酸、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、葉緑素、サポニン等です。
ハーブティーなどで摂取することができますが、カリウム摂取制限があったり、小さな子供、妊婦中、授乳中、心臓や腎臓機能に問題のある方は、摂取するのをなるべく控えてください。
スギナの完全駆除方法まとめ
スギナは雑草扱いされていますが、実はミネラルの宝庫といわれており、その実力ともいうべき栄養学的なパフォーマンスはホウレンソウ以上だとも言われています。
今日でもお茶にしたり、お風呂に入れたり、化粧水にしたりと色んな使い方をされていますが、健康にいいからと言って大量に摂取すると、毒となる事もあるので気をつけましょう。
兼業農家の跡取り息子。植物が好き、花が好き、ガンダムも好き。
農業繁忙期には更新がちょくちょく遅れるよ。