「草でも食ってろ!」と言われた時に食える草「フキ」

食べられる野草

 

野生植物の中で「蕗(フキ)」は食用としてとてもポピュラーな植物です。

ほろ苦い蕾(つぼみ)の部分は「花蕾(からい)」と言いますが、フキのとうとして、天ぷらにして食べるのは有名です。

昔は紙の代わりに柔らかいフキの葉で、お尻を拭くために使用されていたので「拭き」と言われるようになったとの一説もあります。

葉や茎、蕾には、食物繊維が豊富でビタミンB1・B2、カルシウム、カリウム、ポリフェノール、βカロテン、亜鉛などの栄養素がたくさん含まれています。

 抗酸化作用、抗脈管形成作用、抗アレルギー作用があり、フキは古くから民間療法で痰を切り咳を止める薬用として使われてきました。

 

蕗の種類

愛知早生ふき 現愛知県東海市で江戸時代から栽培されている歴史の長い品種、市場に多く流通している品種です。

水(京)ふき 葉柄(茎)は淡緑色で根元が赤みがかり、香りがよく、苦味は少なめでやわらか。あまり市場に流通していない。

ラワン(秋田)ぶき 葉柄の長さが2m、葉の直径は1mほどになり傘のように大きい。

山フキ、野フキ 葉柄(茎)が細く30〜40cmくらい。日本各地で見られ5~6月頃が食べごろ、7月以降は固くなり苦みを増します。

 

蕗に似た植物

フキに似た形の葉をもつ「ツワブキ」

海辺に近い山などに自生している多年草で、菊に似た花を10~12月頃に咲かせます。「フキ」とよく似ていおり、同じキク科で葉の形が似ていることから間違われる方もいらっしゃるようです。

食用としてより園芸品種として知られている植物ですが、若葉がでる頃3~4月が食べごろです。

ツワブキにはピロリジジンアルカロイドと呼ばれる有毒な物質が含まれております。

少量の酢を加えた湯で煮直し皮を剥いで、1日は水に晒してしっかりあく抜きをする必要があり、フキよりも下ごしらえに手間がかかります。

フキと同様にアクが強いので、料理としては主に、きゃらぶき、佃煮などに適しています。

 

「オタカラコウ(雄宝香)」

 

葉がフキで、花はツワブキに似ています。7~10月頃にかけて花を咲かせます。あまり食べる習慣はありませんが、地域によっては若い葉を食用にしています。

 

蕗のような葉柄の野菜ルバーブ

 

シベリア産タデ科の植物で5年ほどで収穫できる多年草です。和名は食用大黄(ショクヨウダイオウ)といいます。大きな葉は有毒です。

北米や北ヨーロッパを中心に栽培されており、肉料理、サラダの他にも砂糖との相性が良いのでジャムやお菓子に使われています。

葉柄は生で食べると酸味と渋みが強く、セロリのような食感です。葉には高濃度のシュウ酸、アントラキノンなどの有毒成分を含んでおり海外では、生葉を食して死亡した例もあります。

春の半ばから終わりにかけて(4~5月頃)収穫が行われ、栽培のシーズンが9月まで続きます。下処理は不要で収穫後すぐに食べることができます。

 

 

山フキ(野フキ)を摂りに行く

 

美味しいのは根元の方があまり赤みがかっていないものです。「赤モノ」言ったりしますがアク、食感(繊維が固い)や香りが青いもの比べると劣ります。

実際、根元が赤すぎるフキが多く取れる場所は野原のように日中、太陽が当たる場所で採れることが多いです。

フキは他の植物よりも根から水分を多く吸い上げます。土壌の成分も関係あるのかもしれませんが、水分を吸い上げにくい場所や民家に近い空き地や河原などは赤みが強いフキが多いように思います。

「青モノ」「白モノ」と言ったりする根元まで白く、葉柄切ったときに水が滴り断面がキレイな緑色のフキは、山野の水辺や湿気が多い土、雑木林のような日陰・半日陰になるような場所でよく見つけます。

「青モノ」「白モノ」のフキを見つけるコツですが、

  • 土に適度な湿り気のある笹薮や雑木林の中で光があまりささないところ。
  • 小さな沢や水が溜まりそうなくぼみ、湧き水やきれいな水がしみ出す場所。
  • 日中、殆ど影になるような場所や年間を通して霧や雨が多く天候が良くない場所。

そういった場所で、群生しているものをよく見かけますし、赤みが少ないものがたくさん採れます。

赤が多いものでも伽羅蕗のような濃い味付けにすれば、関係ないのですが、煮物など味が薄い料理にすると根元まで白いフキの方が美味しいです。

 

フキの食べ方

 

ふきの食用とする長い部分は「葉柄(ようへい)」といいます。茎と呼ばれる方もいらっしゃいますが、ふきの本来の茎は地下にあります。

 

まずは、下処理

 

お店で売られているものは、アクはがあまり出ませんが、野生のものは灰汁が強いのでしっかり灰汁抜きをしてやらないといけません。

鍋のサイズに合わせフキを切る。まな板の上で塩を振り板ずり。鍋で湯を沸かして3〜5分茹でる。(葉を使う場合も同様)

水にいれて、熱をとり、切り口の所から少しずつ皮を剥く。剥き終わったらしばらく水につけて完成。冷蔵庫で1週間くらい持ちます。

 

 

フキの煮物

  1. 下ごしらえしたフキ1束分(500~600g)
  2. 醤油大さじ1杯、砂糖大さじ1杯、みりん大さじ2杯、料理酒少々、水少々、だしの素少々(お好みで生姜のスライスを1,2枚)

おなべに①と②を加えて落し蓋をして煮てください。沸騰したら30分程度ねかせて味をしみ込ませると完成です。

 

 

 

伽羅葺(きゃらぶき)

  1. 下ごしらえしたフキ1束分(500~600g)・・・・水気を切っておいてください。
  2. 醤油大さじ2杯、砂糖大さじ2杯、みりん大さじ2杯 (お好みで唐辛子や山椒を少々)

お鍋に②と①をいてれひたすら弱火で煮詰めていきます。煮汁がなくなったら冷やして完成です。

 

 

 

炒め物

  1. 下ごしらえしたフキ(300g程度)と、フキの葉10~15枚ぐらい。
  2. ちりめんいりこ20g、醤油小さじ2杯程度、料理酒小さじ1杯、ごま油大さじ1杯

フライパンにごま油を入れて①を入れて、しんなりするまで炒めます。

料理酒と醤油、ちりめんいりこを加えて、軽く炒めれば完成です。

フキと葉、いりこの割合は、お好みで変えてください。

 

 

さいごに

フキは、昔から野山に自生しており薬効があると使用されてきました。

花言葉は「私を正しく認めてください」「正義がなされるでしょう」「愛嬌」「公平」だそうです。

世間ではコロナ騒ぎで3密を避けるよう注意喚起されているので、興味があるのであればこのような機会にストレス発散・ピクニックがてら、フキ取りに出かけてみるのもいかがでしょう。

 

 

 

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