買うと使い切れなかったり、すぐに変色してしまうハーブ。
自宅で育てられたら、料理のちょっとしたアクセントやハーブティーなどに利用できて便利だと思いませんか?
ハーブはおしゃれで育てにくく敷居が高い印象がありますが、実は誰でも簡単に育てられる丈夫な植物。家のベランダや玄関などの軒先、日が当たる場所であれば大体どこでも育ちます。
今回は、ハーブの中でも食卓でもなじみ深く出番の多いバジルについてご紹介します。
バジルってそもそもどんなハーブ?
バジルと聞いてピンと来ない方も、マルゲリータピザの上に乗っている葉っぱと言えばわかるのではないでしょうか?
特にイタリア料理には欠かせないハーブです。
バジルの歴史は古く、インドでは5000年以上も前から栽培され、神に捧げる高貴な植物とされていたそうです。その後、ヨーロッパへと広がっていきました。
植物用の肥料や薬品がない時代から栽培されていたということが、バジルの丈夫さを示しているようです。
日本では、庭に食用のシソやミョウガを植えることがありますが、ヨーロッパでも庭で摘んだバジルをトマトソースに入れたりします。
バジルは日本で言えば「シソ」のような身近な親しみやすい存在のようです。
ちなみに「バジリコ」とも言われますが、これはイタリア語で、英語のバジルと同じ意味です。
自宅プランターでバジルを苗から育ててみよう!
バジルは人気のあるハーブなので、花屋、ホームセンター、ネット通販サイトなど、どこででも種や苗を手に入れることができます。
種まきや苗植えは通常4月~6月におこない、10月いっぱいにかけて収穫が楽しめます。
バジルを苗から育てる場合は、まず「植え替え」をしてあげましょう。
ハーブ専用の土も販売されており、ハーブの香りが強くなるように配合されているそうですが、バジルの場合は草花用の土でも問題なく香りよく育ちます。
買ってきた苗のままだと、根が伸びる場所がなくなり、水や土の栄養が行き渡らなくなってしまいますので、なるべく早くプランターに移しましょう。
バジルの苗の植え替えのやり方
- 用意するもの…プランター、鉢底石、草花用の土
- プランターに鉢底石をしく(排水性をよくする)
- 草花用の土を薄くてしく(元肥を混ぜておいてもOK)
- 苗を置いて、高さを確かめる(プランターのフチよりも苗の土が1センチ低くなるように合わせる)
- 苗を置く(伸びた根がからまっている場合には軽くほぐしておく)
- 苗の周りに土を入れる
土の高さはプランターのフチよりも1センチ低くしておくのがポイントです。
この1センチのゆとりは「ウォータースペース」といって、水やりをしたときに水が土に染み込む前に流れ出てしまうのを防ぐために大切なものです。
バジルの植え替えが終わったら、鉢の底から水があふれ出すぐらい、たっぷりと水やりをします。
この水やりのしかたは、普段の世話でも同じです。
土に水が染み込んでいないと根が水を吸えないので、必ずいつも鉢の底から水が出るぐらいまで水やりをしましょう。
ちなみにプランターの大きさは、少し大きめをおすすめします。
バジルは旺盛に生育します。根が伸ばしやすいサイズのプランターを選んだ方がまたすぐに植え替えなくてすみますし、ある程度大きく育ちます。
プランターのサイズは、日当たりの良いところに移したり、雨風を避けたりするとき移動がしやすいように一人で運べる大きさのものをおススメします。
自宅でバジルを育てるのにおすすめのプランター
見た目がおしゃれな素焼き(テラコッタ)のプランター
湿り気がありすぎることが苦手なバジルには、素焼き素材(テラコッタ)が適しています。存在感があり見た目もとてもおしゃれです。
バジルが枯れる原因の多くは根腐れです。素焼きは、無数に小さな穴が空いているので、余分な水分を逃して湿気がこもらないようにしてくれる効果があります。
ただし、バジルは極端な乾燥にも弱いので、水が切れないよう注意しましょう。
お洒落な雰囲気が出せる素焼きですが、デメリットはカビが生えやすいこと。見方を変えれば、素焼きのプランターにカビがが生えないように湿度管理をすれば、バジルにとっても育ちやすい環境につながります。
持ち運びやすく実用性重視のプラスチックのプランター
サイズや色が豊富にそろっているプラスチックのプランター。軽くて持ち運びがしやすく、カビも生えず、何より安価なこともメリットです。
ただ、プラスチックには、素焼きとちがって穴がないので、蒸れやすい欠点があります。カビなどの見た目でわかるサインも出にくいので、知らず知らずのうちに水の与えすぎにならないように注意しましょう。
プランターには豊富な色や形のものがそろっています。せっかくなら気分が上がるようなプランターをじっくり選んでみるのもおすすめです。
プランターでバジルを育てる時のポイント
バジルは、夏場の乾燥に弱く、湿り気がありすぎるのも苦手です。こまめに土をチェックして、表面が乾いたらたっぷりと水をやるというやり方が適しています。
土が乾いても見た目が変わらないときには、わりばしを土に挿してそれを触って確かめるという方法もあります。
バジルが勢いよく順調に育ってくると混み合ってくる部分がでてきます。
成長の遅い芽は取り除いて間引いてやり葉っぱ同士が過密にならないようにしましょう。
また、バジルはお日様が大好きなハーブと言われています。バジルのプランターは、できるだけ日当たりの良い場所に置きましょう。
ただし、夏の強い日差しで、葉がヤケドのような「葉焼け」という状態になることもあるので、夏場の直射日光は避けてください。
プランターで育てたバジルを食べてみよう!
自分で育てたバジルを使った簡単にできるおすすめレシピを紹介します。
バジルが香る!チーズとトマトのサラダ【カプレーゼ】
イタリアンレストランで定番のカプレーゼは、自分で作るのもとても簡単。スライスしたトマト、モッツァレラチーズを交互に並べて、バジルを散らしオリーブオイルをかければ完成!
塩、コショウやレモンをかけたり、同じくバジルが材料のジェノベーゼソースをかけても美味しくいただけます。
トマト、バジルともに暑い季節が旬なので、夏のおすすめメニューです。
忙しい朝でも簡単!【マルゲリータトースト】
バジルといえば、マルゲリータピザが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?
お家でバジルがあれば、イタリアンレストランのマルゲリータピザと似た風味をトーストでも再現できます。
ピザソース(なければケチャップ)ととろけるチーズでつくったピザトーストに摘んだバジルを3枚ぐらい散らすだけです。とろけるチーズにモッツァレラチーズも加えるとより本格的な味わいになります。トマトを添えるとより味わいが豊かになりますよ。
肉、魚、パスタ…何にでも合うソース【ジェノベーゼソース】
イタリアのジェノバ地方で作られたことからこの名がついたジェノベーゼソースは、バジルが主役のソース。バジルが好きなら、ぜひ挑戦してみましょう。
市販のものよりも香り高いソースが、自分で作れます。すりつぶす作業が大変なので、フードプロセッサーやハンドミキサーをお持ちの方向けのレシピです。
また、オイルの量を控えめにすれば、脂っこいものが苦手な人でも食べやすいソースができます。
オイルを食べるようなレシピなので、アマニオイルなど健康によい種類を選ぶのもおすすめです。
バジルペースト(ジェノベーゼソース)の材料と作り方
- バジル 100g
- 松の実 60g
- オリーブオイル 200cc
- ニンニク 2かけ(芯を取り除く)
- 塩 小さじ1
- (お好みで粉チーズやアンチョビ 適量)
- ※スーパーで買える細長いパックのバジルは約20g入りです
すべての材料をフードプロセッサーかハンドミキサーで、なめらかになるまで撹拌すれば完成です!
ジェノベーゼソースは、パスタソースとしてはもちろん、塩コショウで焼いた肉や魚にかけてもおいしくいただけます。
バジルと相性の良いチーズやトマトとの関係
バジルはチーズとも好相性。カマンベールチーズやクリームチーズ をいただくときに添えると、彩りも良く一緒に食べてもよく合います。
また、トマト味のものはたいていバジルと相性抜群です。鶏肉のトマト煮込み、トマトソースの煮込みハンバーグ、ミネストローネなどに摘んだバジルを加えてみましょう。
わざわざ包丁で切らなくても、手でちぎった方がバジルの香りが出て、風味を楽しむことができます。
ちにみにバジルには、抗酸化作用のあるビタミンE、抗酸化力をもつβ-カロテン、ビタミンKやカリウム等を豊富に含んでおり、チーズやトマトとの組み合わせで消化促進、抗酸化作用、疲労回復や免疫機能向上など体を正常に保つ働きをします。
おわりに
丈夫で育てやすく、食卓でも大活躍してくれるバジル。
虫よけハーブとしても人気があるので、玄関や窓際で育てる人もいらっしゃいます。
プランターハーブとして庭やベランダで育てて、大きくなってきたら、ひと枝をカットしてキッチンでコップの水に入れておくのもおすすめです。
バジルは生命力があるので、コップに挿しておくだけで根が生えてきます。根が生えたら、プランターの土に植え増やしていくこともできます。
「育てる・食べる・増やす」と、さまざまな楽しみ方を満喫できるバジル栽培。簡単なので、ぜひ試してみてくださいね。
兼業農家の跡取り息子。植物が好き、花が好き、ガンダムも好き。
農業繁忙期には更新がちょくちょく遅れるよ。